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MEGUMIの初プロデュース作品『LAYERS 』SSFF上映会をレポート!監督を務めた業界注目の新鋭・内山拓也監督の人物像に迫る

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様々なジャンルで活躍するクリエイター達とコラボレーションしたショートフィルムプロジェクト「filmbum ORIGINAL」にて、俳優・タレントなどマルチな活躍をするMEGUMIさんが初めてプロデュースを務めたショートフィルム『LAYERS』。

業界注目の新鋭・内山拓也さんが監督を務め、HIP HOPアーティストのPESさんが劇中の楽曲プロデュースを担当した本作は、「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2022(SSFF)」にノミネートされ注目を浴びた。

SSFF上映会の様子をレポート!

2022年6月10日(金)、表参道ヒルズのスペースオーにてSSFF上映会が催され、MEGUMIさん、内山監督、PESさん、本作で主演を努めた木村 皐誠さん、野澤 しおりさんが一堂に会した。

上映会では本作を含め5つのノミネート作品が上映され、その様子はオンラインでも配信。全作品の上映後には、出演者や監督などが登壇し、インタビューも行われた。

プロデューサーとして作品に関わってみていかがでしたか?という質問に、MEGUMIさんは「今日のように皆さんに観ていただける作品になったのはとても感慨深く、大きな作品は初めてのプロデュースでしたのですごく勉強になりましたし、感動しています」とコメント。

作中のキーワードとなる“子供のまま歳を取る”という設定について、内山監督は「子供の姿のまま歳をとっていくということは、誰も大人になったその姿を知り得ないので、それは最早老けメイクという本来の特殊メイクの領域ではなく、誰もやったことがない挑戦でした。特殊メイクとCGを動き続ける役者に掛け合わせるという非常にチャレンジングな手法を取りましたが、自分も知り得ない老けた容姿や動きを想像しながら現場で調整していく作業だったので、スタッフはもちろんのこと主演の2人は本当に大変だったと思います」と作品の裏話を披露してくれた。

作品の楽曲を担当したPESさんは「一場面ずつしっかり『ここは違います』『こんな感じです』というやりとりができたので、『LAYERS』という“積み重ね”の意味を噛み砕きながら作ることができました。すごく勉強になったし楽しかったです」とコメント。

最後にMEGUMIさんが、「映画の楽曲を制作するのが初めてのPESさんと、子供たちとしっかり向き合う作品作りが初めてだった内山監督と、作品のプロデュースが初めてだった私と、全員がチャレンジングな想いで始まったことが一つの形になったことは、非常に勇気をもらえる出来事で、本当に感動しています」と締めくくった。

SSFF上映会後、『LAYERS』クリエイター陣とLIFE LABEL、Dolive代表・林との記念写真

SSFF上映会 インタビュー風景はこちら!

『LAYERS』で演出・脚本を担当した内山拓也監督は、なんとMEGUMIさん自らが「監督に」オファーしたという。

23歳で初監督作『ヴァニタス』を制作し、MVや広告を手掛けながら、『佐々木、イン、マイマイン』で、劇場長編映画デビュー。このデビュー作が第33東京国際映画祭「TOKYOプレミア2020」に選出され話題となった。

そんな確かな実力で業界でも注目を集める内山監督は、なぜ映画業界に入り、どのような作品に影響を受けてきたのだろうか。LIFE LABEL、Doliveの代表・林がパーソナリティーを務めるラジオ番組『Whαt`s New FUN?』で語られた会話より、内山監督の歴史を紐解いてみよう。

『LAYERS』の監督に内山さんを、という話をMEGUMIさんから相談される前に、内山監督が制作した人気バンド King Gnuの楽曲「The hole」のMVを見ていたという林。『LAYERS』は内山監督と林の思いがけぬ邂逅の場となった。

庵野秀明監督の『式日』に影響を受け、スタイリストという道に進む

高校生の時に庵野秀明監督の『式日』という作品を観て映画に興味を持ったという内山監督。

『式日』との出会いは、当時通っていた古着屋の店長さんだという。将来の漠然とした人生相談をしたところ、「こういうの観てみれば?」と勧められたそうだ。

「褒め言葉なんですけど、僕の中ではトラウマ映画なんですよ。影響を受けてファッションに対する価値観が変わって、この作品のおかげでスタイリストを目指そうと思ったんですけど、もう出来れば二度と観たくない(笑)」(内山監督)

この作品を通し、ファッションで表現をすること、そういう仕事があるんだと世界観が広がったという。そのまま服飾の専門学校に進学し、スタイリストとしての活動を始める。

なぜスタイリストから映画の世界に飛び込むことになったのか。その理由を内山監督はこう語った。

フリーターを経て映画の世界へ。初めての商業映画が“やりたいこと”を始めるきっかけに

「映画の現場にアシスタントで参加した時に、現場がとてつもなく魅力を放っていて。そこで自分の人生の岐路に立ちました。スタイリストとして映画に関わるのではなくて、映画作りそのものに関わりたい!と思って、スタイリストの仕事を全部やめて映画館でアルバイトをしたんです。」(内山監督)

フリーターとして過ごしている間に知り合った様々な人との繋がりを経て、『浅田家!』などで知られる映画監督の中野量太さんと出会い、映画業界へ足を踏み入れた。

しかし、『湯を沸かすほどの熱い愛』で初めて商業映画の現場で助監督を務めた内山監督は、自分がやりたいことは漠然と映画に関わることではなく「映画で自分を表現すること」だと気づくことになる。

それまで手伝っていた制作などの仕事を全て辞め、アルバイトで貯めたお金で自主映画を制作することに。初めての監督作品となった自主映画『ヴァニタス』は、ぴあフィルムフェスティバル「PFFアワード2016」で観客賞を受賞。台湾や香港の映画祭でも上映される作品となった。

「現場では準備してきたものを捨てられるようにする」内山監督が映画作りにおいて大事にしていること

2020年の劇場長編映画デビュー作となる『佐々木、イン、マイマイン』は、脚本も担当。

脚本を書くことについて、内山監督は「脚本を書くのはすごく嫌いだし一番しんどいんですけど、誰にも渡したくない。だから苦しい」と語る。

作品作りにおいて大事にしていることは?と質問すると、このような回答が返ってきた。

「スタッフやキャストとの対話、たくさん話して準備するということは大事にしていて。準備にしっかり時間と労力をかけて、現場ではその準備したものや書き込んで想定したものを捨てられるようにするんです」(内山監督)

「家というものはどういうことか?」内山監督に聞く『LAYERS』の着想の裏側

『LAYERS』のストーリーの着想は、どのようなものだったのか。

「家というものはそもそもどういうものなのか?から入って、家の中で生きて死んでいく、その長い年月には人の汗やシミがどのように結びついてできるんだろうというところを、どうやったら主人公たちに託せるだろうという掛け算をしなきゃなと思いました。

最後に夫婦が縁側で木を見ているシーンがあるんですけど、子供のまま歳をとった夫婦の背中のイメージが頭の中にあって。その背中に辿り着くためには2人がどんな時間を共に歩んできたのか、その過程には全て家がある、というところに繋がればいいなと」(内山監督)

『LAYERS』制作の背景や作品への想いはこちら

CGや特殊メイク、壁の色はどう変わるか、子供達は今何歳なのか。全員が手探りで、景色を想像しながら、そして実感を持ちながら撮影したという『LAYERS』。

約10分間という短い時間で描かれる輪廻の物語は、今を生きる私たちに、穏やかで美しい景色を見せてくれる。

「一緒に手探りで実感しながら撮っていった」、『LAYERS』本編はこちらから