ごっこ倶楽部がつくる「家」と「家族」のドラマ。『ふたりみたり』が描いたもの
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人気ショートドラマクリエイター、ごっこ倶楽部。インタビュー前編(ごっこ倶楽部は「ごっこ」の先へ。時代が変わっても変わらない「小さな愛」)では、これまでの活動について話を聞いてきたが、後編では新作『ふたりみたり』の見どころやタイトルに込めた意味、そして今後の野望について話を聞いた。
インタビュー・テキスト:filmbum編集部 写真:タケシタトモヒロ
困っていたら助けたいと無条件で思える、愛の形が家族なのかなって
ーfilmbumとのコラボ作品『ふたりみたり』は、「家」を舞台に作品を作ってくださいというお題でしたが、みなさんにとってお家はどんな場所ですか?
大貴:いちばん自然体で入れる場所ですね。
龍馬:1番落ち着くところです。
智:休める場所。
架威:なんだろうな、他人の目を気にしないで、自分を出せる場所かな。
ーでは、家族はどんな存在ですか?
大貴:いちばん守りたいものです。
架威 :頼りたいし、頼ってほしい存在ですかね。結局最後は、家族しか頼れないなって思うんですよね。
智:愛の究極系じゃないですか? シンプルに「この人好き!」みたいな感情よりも、もっと上の次元で、困っていたら助けたいと無条件で思える、この愛の形が家族なのかなって。
龍馬:ぼくは家族も他人って感じなんですよね。逆に他人も家族になり得るし、家族も血は繋がっているけど、 意外と気を遣っていたりするんで。もちろん、マイナスな気の遣い方じゃないんですけど。
智:親しき仲にも礼儀あり的なね。
龍馬:そうそう。まぁ、これを親が聞いたら「お前何言ってんだ」ってなりそうですけど(笑)。なんとなく気は遣いつつ、気を許しつつみたいな関係性ですかね。
「家」は、命が流れていく場所
ー『ふたりみたり』についてもお伺いしていきたいのですが、まずは「家」を舞台に作品をつくるにあたって、どんなことを考えましたか?
智:家庭や家みたいなものをベースにしたドラマって、世の中にたくさんあるじゃないですか? そんななかで、自分が思う「家」ってなんだろう…って考えたときに、「命が流れていく場所」みたいな、抽象的な概念が思い浮かんだんです。
1人暮らしをして、パートナーができて、結婚をして、一緒に住んで、その後たぶん子供ができて、子供が巣立っていってみたいな。
ーなるほど。
智:それが『ふたりみたり』というタイトルにも表れていて。まず前編は「2人の話」で、2人のお家探しから始まり、お互いの生活が忙しくなってしまい、「2人のことなのに1人のことみたい」という台詞も出てくるように、お互いが1人になってしまいます。
そして、後編では仲直りをすることで、また1人が2人になって、最後には3人になって終わる。3人を訓読みすると「みたり」になるので、「2人3人」という意味で「ふたりみたり」になっています。
ーそんな意味が込められていたんですね。
智:あとは、二人一組とか二人三脚とか、2人を1つにするような言葉は日本語にあるんですけど、2人を3人にするみたいな言葉ってなかったんで、もし自分が作るとしたら「ふたりみたり」だなって。
一同:お洒落だな〜(笑)。
大切なことを、遠回しに優しく教えてくれる作品
ー本作の見どころやこだわったところを教えてください。
龍馬:好きな台詞がいっぱいあるんですよね。めちゃくちゃお洒落じゃないですか?例えば、プロポーズの場面も、いわゆる気合いの入ったプロポーズとかじゃなくて、
大貴「一応…結婚的な方向で考えてて」
しま「私も結婚的な方向で考えてた」
とか、すごくリアルだし、細かいニュアンスがニクいなと思います。この良さが伝わる人はDMしてください(笑)
架威:ぼくは、これまで結婚っていうものに対して、あまり前向きになれなかったんですよね。仕事とか、自分の身の回りのことをまず固めないとできないものっていう考えがあって、責任も伴うぶん、生半可な気持ちじゃできないなって。
でも、この作品を制作者目線とか役者目線じゃなくて、いち視聴者として見た時に、純粋に「家族を持つっていいな」って思ったんですよね。なんか大切なことを、直接的なパンチじゃなくて、言葉尻とかセリフの量感とかで、遠回しに優しく教えてくれるような作品だなって思います。
大貴:ぼくたちは、日々生きていくなかで、どうしても忘れがちなことに目を向けて欲しいと思いながら作品づくりをしてるので、 お互いが忘れかけていた相手を思いやる気持ちを思い出して、公園で仲直りするシーンがいちばん気に入っています。
智:家族って、すごく大切な存在だけど、その近さゆえに感謝の気持ちを伝えることを忘れてしまったりしますよね。もちろん、家族にはいろいろな形があって良いと思うし、それぞれがつくりあげたその関係を疎かにしないように、どんどんその輪を広げて欲しいなと思います。
ーどんな人に見て欲しいですか?
智:全人類に見て欲しいですね(笑)。すごく馬鹿げてる夢だと思われるかもしれないですけど、よくメンバー内で「世界中の人たちがごっこ倶楽部の作品を見てくれたら、絶対平和な世界になるよね」って話をしているんです。
龍馬:誰が見ても絶対にほっこりするし、感動する話なので、それこそ目の肥えている視聴者や役者とかにも見て欲しいですね。
日本のコンテンツが、もっと世界で認められるように
ー結成からこれまでを振り返っていかがですか?
龍馬:結成からとんとん拍子でここまできて、そのスピード感にはびっくりするんですけど、なんだかんだで全部智が言っていたとおりになっているんですよね。
ー活動を続けてきて、変わったことや、逆に変わらないことはありますか?
架威:変わったことは、やっぱり見てくれる人が増えたことですね。でもやっていることは変わらないし、そもそも「遊びの延長」みたいな感じで始まったので、常に新しいこと、楽しいと思えることをしようねっていうスタンスは変わっていないです。みんな口を揃えて「楽しくなかったらやめる」って言ってますし。
龍馬:メンバーもほぼ毎日一緒にいるんですけど、変わらず本当に仲良いですし、喧嘩とかもしないし。バランスの取れた良いチームだなっていうのは感じます。
ー今後の目標を教えてください。
智:そうですね、まずは「ショートドラマ」という市場を大きくして、きちんと文化にしていきたいです。ごっこ倶楽部だけじゃなくて、ショートドラマをつくるプレイヤーがいっぱい現れてくれたら良いなと。もちろん、その市場のなかで、先駆者でありながら、常に先頭を走り続けたいです。
ーその先には何か野望があるんでしょうか?
智:ドラマって、少し前までアジア圏では、日本がいちばん強かったと思うんです。中国や韓国が『花より男子』をリメイクしていたりしましたよね。その時代を生きてきたので、韓国の『梨泰院クラス』が流行って、日本で『六本木クラス』としてリメイクされるみたいな逆転現象が起きているいまの状況がめちゃくちゃ悔しくて。
なので、また日本のコンテンツが世界で認められるようにしていきたいなと思っています。
ー結成から1年でここまで駆け上がってきたごっこ倶楽部が、今後どうなっていくのか、すごく楽しみです。
智:いや、もうほんとに休んでいる暇なんてないので、走り続けたいです。
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