「わからないものって面白い」日本映画界の奇才・石井克人監督インタビュー。ショートフィルム『ノリオカワークショップ』の隠された見どころ
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唯一無二の存在感で、数多くの映画やCMを手がける石井克人監督が、「家」を舞台に手掛けたショートフィルム『ノリオカワークショップ』。
独特なリズムで作られたカット割で、強烈な存在感を放つ石井監督の作品。『ノリオカワークショップ』も、石井監督ならではの不思議な世界観がしっかりと詰め込まれています。
この独特な世界観は、一体どのように作られているのでしょうか。
今回は、石井監督に作品作りのこだわりや監督が考える「面白さ」について語っていただきました。
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現代美術から学んだ「分からない」という面白さの魅力
昨今の商業映画の大多数には原作があり、予告編でストーリーをしっかりと説明したり、“分かりやすければ分かりやすいほど良い”というような風潮がある。
そんな中で、なぜ石井監督は考察のしづらい、言ってしまえば「よく分からない」作品を作るのか。
その答えは、石井監督の「映画の面白さ」への考え、そして予備校生のときに受けた影響にありました。
“先が見えない”から分からないという面白さ
「今の映画ってオリジナル脚本のモノってなかなかないんです。漫画や原作があって、ある程度観客の動員が見込めないと映画って作れないんですよ。
でも僕は、先が見えないから面白いんじゃないのかなって、思うんですけどね。わからないものって面白い」(石井監督)
分からないから見入る。理解できないから悩む。それこそが面白さ。作品で描かれる「分かりづらさ」こそ、石井監督ならではの「面白さ」になっているのかもしれません。
現代美術から受けた影響とは
「美術の予備校に通っている時、たまたま先生方全員が現代美術をやっていたんですよ。
その予備校の図書館にはポップアートや現代美術の画集しかなくて、面白さに惹かれてずっと見ていたんです。
全く意味がわからなかったんですよ。島をピンクにしたアーティストがいたり(笑)。でも、理解できないから見入ることができるんじゃないかなって
“理解できない”という共通言語や、悩ませてくれるっていう作品も必要なんだと思うんです」(石井監督)
「ロジカルなつまずかせ方」石井監督作品が持つ“独特な世界観”の正体
「分からない」という面白さを作品で表現する。そこには、しっかりと計算された監督のロジカルな作品作りがありました。
「作品自体は映画の構成にちゃんと沿って作っているんですよ。例えば、構成のAというパートに20の要素があると数値化して、そこにカットをはめていく。
Aに15しかなくてBが18くらいだったら、そこに何か入れられるじゃないですか。そこに無意味なものやよくわからない要素を入れて、わざとつまづかせる。
今回の『ノリオカワークショップ』もそうです。真ん中にアクションを持ってきて、読めないなってとこをちょっと入れたんです。」(石井監督)
作品を観た人にしか分からない、物語の中に現れる急な違和感。「なぜここでこのシーンが描かれているのか」という謎こそが、石井監督作品の面白さ。
さて、『ノリオカワークショップ』には、どのように面白さが描かれているのでしょうか。
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