「私の”好き”しか映っていない」演劇モデル・長井短が『2021夏.mp4』で魅せた”夫婦共演のグルーヴ感”を紐解く
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演劇モデル・長井短が初めて監督を努めたショートフィルム作品『2021夏.mp4』。
作品に登場する夫婦役は監督である長井短本人と、実生活でもパートナーである亀島一徳が演じている。
作品のあらすじや制作の背景はこちら!
ファッションにも注目!「家で何をしたい?」から生まれた”家を着る”というストーリー
舞台となる家のリビングは、お世辞にも片付いているとは言えないが、これは、“情報量が多い方が落ち着く”という長井短のリアルな私生活を反映しているようだ。
「身の回りに情報量が多ければ多いほど落ち着くので、いっぱい同時にやって、一つのことに全く集中できない状況が一番好きなんです」(長井短)
長井短が夫であり俳優の亀島一徳と「家で何をしてみたい?」というところからストーリーの着想が生まれたという本作。
「なんだか家を着てみたかったんですよ。いろんな服を着て、家具を着て、最終的には家を丸ごと着て(笑)」(長井短)
そう語られる通り、物語の核となるのは、夫婦の「どちらが素敵に着飾れるかの戦い」。この戦いには乱雑に置かれた家具やインテリア、カーテン、果てはカップラーメンまで、ありとあらゆる家のものが取りこまれていく。
長井短にとっての”家”は、「夫が一緒なら、そこがスウィートホーム」
長井短にとって“家”とは?を尋ねると、「“A HOUSE IS NOT AHOME”という外国の古い曲があって、それを思い出しました」と。
その歌詞を一部紹介。
“あなたがいないと、この家はただの“家”。 我が家(ホーム)じゃない。 いないとわかっても願ってしまう。 あなたがそこにいますように”。
「今住んでいる家の間取りなんて全然気に入ってないんですけど、亀島君(夫、俳優の亀島一徳)と一緒に住んでいるだけで、そこがスウィートホームと胸を張って言える」(長井短)
一緒に住んでいるだけで、そこがスウィートホームになる。つまり本作は、まさに2人のスウィートホームで巻き起こる、2人のとある日常なのかもしれない。
本作にはセリフというセリフがほとんどなく、物語の前半にはBGMすらない。それでも飽きることなく観ていられるのは、2人から醸し出されるグルーブ感のおかげなのではないだろうか。
作品を盛り上げる独特なグルーヴ感、交換日記から長井夫婦を紐解く
実生活でも夫婦とはいえ、なぜ2人の空間はこんなにも心地がいいのだろうか。
長井短・亀島一徳夫婦といえば、noteで公開されている夫婦の交換日記が有名だ。
夫 亀島一徳 35歳 妻 長井短 28歳
誕生日 9月17日 9月27日
血液型 O型 A型
好きな食べ物 ウニ たらこ
好きな芸能人 Matt IKKO
好きなキャラ スヌーピー ディズニー
好きな食べ物や芸能人にも不思議な共通点の様なものをを醸し出す夫婦。どんなやりとりをしているのか、交換日記の一部を少しだけ覗いてみよう。
To:長井短 From:亀島一徳
短ちゃんへ
「2月23日」より
わかっていただけて嬉しいです。ただ必要なのは行動です。頭で理解していても、行動に結びつかなければ何の意味もありません。行動の伴わない理解は理解とは呼べません。今現在、我が家の換気扇は川崎の街中華の汚れ方をしてます。埃が溜まるとクマさんのマークが浮き上がる仕様のフィルターが、埃が溜まり過ぎて1度浮かび上がったクマさんが姿を消すほど埃が溜まっております。
To:亀島一徳 From:長井短
昨日寝る前に絶対に公開できないリリック作ったの死ぬほど楽しかった。
「3月9日」より
いまだに笑ってる。次はあれで曲作りたいのに、絶対に出せないから
残念だわ。韻堅いのに。
ところで、溢れ出す光の粒が少しずつ朝を暖めているね。
大きなあくびをした後に少し照れてるあなたの横で
新たな世界の入り口に立ったけど、気づいたことは一人じゃないってこと。
To:長井短 From:亀島一徳
短ちゃんへ
なんか急にすごいJ-POPみたいなこと言い出してどうしたんだろと思ったけど、、、これ。3月9日だからって3月9日の歌詞書くのやめな。なんでとかは言わないけど、シンプルにやめな!
そして何より、お見事です。フィルター替えてくれてありがとう。。。ようやく、伝わって嬉しいよ。。。おかげで空気は澄み渡ってるよ。
「3月24日」より
フィルターの交換をしてほしい亀島一徳と、それについては一切言及せずに、写真のみで伝える長井短。日記にちりばめられたレミオロメンの名曲「3月9日」にもきちんと反応する亀島一徳。
2人の間には、きちんと「共通言語」がある。そしてきちんとお互いの言葉を聞き逃さずにキャッチボールをしている。この共通言語こそが、2人のグルーヴ感を生んでいるのではないだろうか。
「あなたが着替えたから、私も着替える」
「君がそう着替えたなら、僕はこう着てみる」
言葉を介在しなくとも、表情で、行動で、服で、相手とコミュニケーションをとることができる。
物語が進むほどに2人の世界に引き込まれていくのは、「こんな夫婦っていいな」という憧れが、私たちの心のどこかにあるからかもしれない。
物語の終盤、照明を帽子に見立てた長井短が亀島一徳と向き合い、亀島一徳が帽子を外すシーンは、まるで結婚式で新郎が花嫁のヴェールを上げる瞬間のようだ。
長井短の「”好き”しか映っていない」本作、本編はこちらから!
「filmbumからの『なんか撮ってみない?』の一言から始まったこの企画。
自分の好きに何かを作れるとなると、やってみたいこと、仕事をしてみたい人、色んなことが沢山浮かんで、だけど最後に残ったのは、本当に大好きな家族や友達と、一緒に何かを作りたいっていうシンプルなことでした」(長井短)
本作は、カメラマンと制作アシスタントを長井の幼馴染み達が担当。作中で流れる『042→03』という曲も、作詞を夫婦で担当、楽曲プロデュースは長井短が大好きだというDJ HASEBEがプロデュース。
MVの制作も幼馴染と亀島一徳が参加しており、まさに長井短の“好き”しか映っていない作品となっている。
長井短が初めて監督を努めたショートフィルム『2021夏.mp4』、本編はこちら